健康づくり教室Ⅳ
山口県健康づくりセンターにおける 「健康づくり教室」の展開
~10年間の生活習慣病予防教室をとおして~
- Ⅳ 教室の効果(6年間の教室参加者のデータ集計結果)
- ここまで紹介してきた教室プログラムは、13年度以降の健康づくり教室で実施し、現在までで、228名の参加者がありました。
そこで、228名から得られた各種データを集計し、参考までに掲載します。
※データは、項目ごとに、全データの取れた者のみで集計
※差の検定はT検定を用い、有意水準は *P<0.05 **P<0.01で表現しました。 - 1)教室参加者の属性
- 教室参加者の、性別及び年代別状況は表6及び図1・図2のとおり。
性別では、女性が参加者の約80%を占め、年代別では、60代が50%、次いで50代が30%を占めていました。
表6 教室参加者の性別及び年代別内訳人数 年代別内訳 平均年齢 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 男 39 0 0 1 4 27 6 1 64.8歳 女 189 1 6 21 61 91 9 0 58.2歳 計 228 1 6 22 65 118 15 1 59.3歳
図1 性別内訳
図2 年代別内訳 - 2)食事の変化 -食品数調べの結果- (209人)
- ・参加者の食生活状況の把握は、「参加者にできるだけ負担をかけない」方法で把握することを重視し、食べた量までは記入せず、どんな食品を食べたのかを記入してもらい摂取食品数とバランスでチェックする「食品数調べ」を実施しています。
・調査は、タイミングをみながら教室中に3回実施しています。
・食品総数は、教室開始時(25.9食品)が、2回目(26.5食品)、3回目(26.7食品)と、教室を進めるにつれ、有意に増加していきました。(図3)
・食品群別で見ると、しっかり食べるように指導した、海草・野菜・きのこ類の含まれる2・3・4類、すべての群で有意に増加し、また食べすぎに注意するよう指導した、1・5・6類では、5・6類において有意に減少しました。(図4)
図3 食品総数の変化
図4 食品群別の変化
<食品群の内訳> 1類:魚・肉・卵・大豆 2類:牛乳・乳製品・骨ごと食べられる魚・海草 3類:緑黄色野菜 4類:その他の野菜・きのこ・果物 5類:米・パン・めん・いも・砂糖 6類:油脂
- 3)身体活動量の変化 -ライフコーダの結果- (213人)
- ・身体活動量の把握は、ライフコーダを使用し、教室中に全4回実施しました。
・歩数は、目標設定した直後の2回目に9,000歩→10,000歩に有意に増加し、その後、歩数がやや減少するものの、教室終了時は、教室開始時に比べ、1,000歩近く有意に増加していました。(図5)
・運動量及び総消費量も、歩数と同様の状況でした。(図6・7)
図5 歩数の変化
図6 運動量の変化
図7 総消費量の変化 - 4)血液検査結果
表7 血液検査結果一覧測定項目 人 教室開始時 教室終了時 検定 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 中性脂肪 213 114.0 89.3 103.1 53.2 * HDLコレステロール 213 61.7 14.1 61.7 14.3 LDLコレステロール(※) 212 139.3 34.5 139.4 32.2 GOT 169 24.4 8.9 24.0 6.6 GPT 169 22.0 13.8 21.2 10.4 γ-GTP 168 32.3 38.4 31.1 37.5 空腹時血糖 212 98.1 16.9 95.8 13.8 ** HbA1c 212 5.3 0.6 5.3 0.6 - 5)健康度・体力測定結果
表8 健康度・体力測定結果一覧測定項目 人 教室開始時 教室終了時 検定 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 健康度測定 体 重(kg) 217 56.5 9.3 56.0 8.9 ** BMI 217 23.6 3.5 23.4 3.3 ** 腹 囲(cm) 145 86.7 9.6 85.1 9.3 ** 最高血圧(mmhg) 212 133 20.9 131 20.2 * 最低血圧(mmhg) 212 81 11.8 79 11.0 ** 体力測定 脚伸展力(%) 210 53.6 15.8 57.4 15.6 ** 長座位体前屈(cm) 217 10.6 8.4 11.9 8.0 ** 閉眼片足立ち(秒) 216 16.2 20.4 19.8 21.7 ** 最大酸素摂取量(ml/kg/分) ※ 44 29.3 7.4 32.0 7.3 * - 6)自覚的効果に関するアンケート結果 (180人)
- ・教室開始1ヶ月後に、約65%の者に、何らかの自覚的効果が現れ、調査を重ねるごとに自覚的効果を感じる者は増え、3ヶ月後の教室終了時には80%の者が自覚的効果を感じていました。(図8)
・自覚的効果の具体的な内容ベスト3は、以下のとおりです。
(1)身体が軽快になった(52.2%)
(2)食事が美味しくなった(30.6%)
(3)疲れなくなった(28.9%)
図8 自覚的変化が「あった」人の推移