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栄養・食生活に関する実態調査B

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栄養・食生活に関する実態調査

A.調査の概要
B.調査結果の概要


B.調査結果の概要

1 調査票の回収
調査票の回収は1,803件で、対象校からの回収率は100%であった。
小・中・高校別の回収率は表1のとおりであった。

表1 小・中・高校別回収数
  対象学校数 回答学校数 回収数 備考
小学校 30 29 598 ※1校は5年生該当なし
中学校 20 20 622  
高校 16 16 583  
合計 66 65 1,803  

2 調査回答者の属性
回答者の男女別割合は、男子50.4%、女子49.5%でほぼ同率であった。

小・中・高校別の割合も、小学校33.2%、中学校34.5%、高校32.3%とほぼ同率であり、男女別、小・中・高校別ともに平均した回答結果が得られた。
図1 男女別割合 図2 小・中・高校別割合

3 調査結果
(1)食生活の自己評価

良い食生活をしていると思うかと、自分の食生活の評価について聞いた。
全体では、「良い」が34.8%、「良くない」が27.1%、「わからない」が38.0%であった。
男女別の差はほとんど認められなかった。
小・中・高校別では、学年が上がるにつれて「良い」と回答する者の割合が低くなり、高校になると、「良くない」が「良い」を上回っていた。
小・中・高校の男女別では、中学校で「良くない」と回答した女子の割合が、男子の約1.5倍で、最も大きな差が見られた。

図3 自分が良い食生活をしていると思いますか








(2)食と健康についての意識

健康のために食事が大切だと思うか聞いた。

ほとんどの者が健康のためには食事が大切だという意識を持っており、男女別、小・中・高校別による差は、特に見られなかった。

図4 健康のために食事が大切と思いますか






(3)食生活の実態

食生活の実態を、「朝・昼・晩規則正しく食事をする」「多種類の食品を食べる」「食事の量を適量にする」ことができているかどうかで聞いた。

全体では、「朝・昼・晩規則正しく食事をする」が70.4%と一番高く、次いで「多種類の食品を食べる」49.5%、「食事の量を適量にする」29.4%であった。

男女別の差はほとんど見られなかった。

小・中・高校別では、学年が上がるにつれて「多種類の食品を食べる」「食事の量を適量にする」の割合が低くなり、「無回答(=どれもできていない)」の者の割合が高くなる傾向にあった。

図5 自分ができていると思うこと






また、自分の食生活についての自己評価別に食生活の実態を見ると、「良い食生活をしている」と回答した者は、「良くない」と回答した者より、三項目とも多かった。

しかし、「良い食生活をしている」と回答しても、「食事の量を適量にする」については、約4割しかできていると回答した者がいなかった。

図6 食生活の自己評価別の実態


(4)食生活に関する情報源

栄養や食事に関する情報源について聞いた。

全体では「テレビ・ラジオ」が71.4%と最も高く、次いで「家族」55.4%、「学校」50.5%の順であった。

男女別では、「本・雑誌」が女子で高かった。

小・中・高校別では、「テレビ・ラジオ」は、ともに約7割を占めているが、「家族」「学校」は学年が上がるにつれて低下している。

図7 食生活に関する情報源






(5)食生活に関する会話の有無

家庭での食生活に関する会話の有無を聞いた。

両親や家族と、食事の内容や食べ方について話をする者は、全体では約6割であった。

男女別では、男子より女子の方が会話をする割合が高く、小・中・高校別では、学年が上がるにつれて会話をする割合が低くなっている。

図8 食生活に関する会話の有無






(6)食生活に関する会話の内容

「会話をする」と回答した者の会話の内容について聞いた。

全体では、「箸や茶碗の持ち方・食べるときの姿勢」が69.0%と最も高く、次いで「よくかんで食べる」47.2%、「口にものを入れたまま話さない」 「食前・食後のあいさつ」が高いが、学年が上がるにつれて低くなる傾向がみられる。一方、「多種類の食品を食べる」「食べ物の栄養について」は、学年が上 がるにつれて高くなる傾向にあった。

図9 食生活に関する会話の内容






(7)食事の手伝いの状況

家での食事の手伝いの状況について聞いた。

「している」「時々している」と回答した者をあわせると約7割の者が手伝いをしていた。

男女別では、男子よりも女子の方が手伝いをしている割合が高かった。

小・中・高校別では、学年が上がるにつれて手伝いをすることが少なくなる傾向にあるが、特に男子の低下が著しく、男女間の差が大きくなる傾向がみられた。

図10 食事の手伝いの状況








(8)食事の手伝いの内容

手伝いを「している」「時々している」と回答した者の手伝いの内容について聞いた。

全体では、「食事前の準備」が75.3%と最も多く、次いで「食事後の後片づけ」66.8%、「料理を作る手伝い」51.1%の順であった。

男女別では、各項目とも女子の方が多めであるが、特に「包丁を使って切る」「料理を作る」などの、実際に調理に携わる内容のものについては、男子より女子の方が高かった。

小・中・高校別では、学年が上がるにつれて各項目とも低くなる傾向にあり、特に「食事の買い物をする」が低くなる傾向が目立った。

図11 手伝いの内容







(9)料理について

料理が作れるかどうか聞いたところ、全体では、約8割の者が「料理が作れる」と回答しており、男子より女子の割合がやや高くなっている。

小・中・高校別では学年が上がるにつれて「作れる」と回答する者の割合が低くなっている。

図12 料理がつくれるかどうか






また、手伝いの状況別に料理が作れるかどうかみてみると、手伝いの度合いが高い者ほど料理も作れる者が多かった。

図13 手伝いの状況別、料理がつくれるかどうか


(10)調理の情報源

「料理が作れる」と回答した者に料理の作り方の情報源について聞いた。

全体では、「家族」が77.4%と最も高く、次いで「学校の授業」52.0%、「料理の本・雑誌・新聞」39.3%の順であった。

男女別では、「家族」「料理の本・雑誌・新聞」が女子で高く、「自分で適当に」は男子で高い。

小・中・高校別では、学年が上がるにつれて、「家族」「学校の授業」が低くなるのに対し、「料理の本・雑誌・新聞」が高くなっていく傾向にあった。

図14 調理の情報源






(11)外食時のメニューの決定

家族と外食をする時のメニューは誰が決めるかについて聞いた。

約9割の者が自分で決めており、男女別、小・中・高校別の差はほとんどみられなかった。
図15 外食時のメニューの決定






(12)外食時に選択するメニュー

外食時に選ぶメニューについて聞いた。

全体では、約6割の者が「一品料理」と回答しており、男女別で差はなかった。

小・中・高校別では、学年が上がるにつれて「数種類の料理を組み合わせたもの」と回答する者が多くなる傾向にあった。

これを、男女別でみると、男子で学年が上がるほど「数種類の料理を組み合わせたもの」が多くなる傾向がみられた。

図16 外食時に選択するメニュー








(13)お年寄りとの同居の有無

おじいさん、おばあさんと一緒に住んでいる者は、全体の約4割であった。

お年寄りとの同居の有無別による集計結果については、どの質問項目においても特に差はみられなかった。

図17 お年寄りとの同居の有無

4 まとめと考察
まとめ
 

健康のために食事が大切だと思うかという問いに、96.6%の者が「はい」と回答し、健康のためには食生活が重要という意識はほとんどの者が持っていた。

     
 

自分の食生活について自己評価してもらうと、「良い」と評価した者は全体の34.8%と低く、高校では「良い」と評価する者より、「良くない」と評価する者の方が多かった。
健康のためには食生活が重要だという意識は持っているが、実際には良い食生活を実践していないと評価している。

     
 

食生活について「朝・昼・晩規則正しく食事をする」「多種類の食品を食べる」「食事の量を適量にする」の面からみたところ、できていると回答した者は、問いの順に70.4%、49.5%、29.4%であり、必ずしも良い食生活をしているとは言えない。
また、自分の食生活を良いと回答した者は、良くないと回答した者に比べ、前述の3項目の達成率は2倍ではあるが、「食事の量を適量にする」については50%以下であった。

     
 

情報源については、栄養や食事に関する知識の情報は、「テレビ・ラジオ」が最も多く、次いで「家族」「学校」の順であった。料理の作り方という技術を習得する情報は、「家族」が77.4%と最も多く、次いで「学校」となり、「テレビ」は24.6%と低かった。
また、どちらの場合にも、「家族」「学校」は、情報源として大きな役割を果たしていることが伺える。

     
 

家族との食に関する会話の有無については、学年が上がるにつれ話す機会が減るものの、全体で約6割の者は、家族と食生活に関して会話をしていた。
会話の内容としては、全体では食事のマナーに関するものが多く、マナー以外の食べ方や食事に関するものについては、40%以下と低かった。
この傾向は、特に小学校においてみられ、高校になるとマナーに関するものは低くなり、マナー以外の食べ方や食事の内容に関するものが若干ではあるが高くなっていた。
家庭の中で子供の年齢が上がるにつれ「マナーからマナー以外の食べ方や食事の内容へ」という食育がされている傾向が伺える。

     
 

手伝いの状況については、「している」「時々している」を合わせ、全体の71.9%の者が手伝いをしていた。
また、男女別では女子の方が手伝いをしている割合が高かった。
手伝いの内容としては、食事前の準備や食後の後片づけという手軽に取り組めるものが多く、男女別では実際の調理に携わるのは女子に高かった。

     
 

料理を作ることができるかについては、約8割の者が作れると回答した。
また、家で食事の手伝いをしている者に、料理が作れると回答した者が多かった。

     
 

外食時のメニューの選択は88.9%の者が自分で選択し、外食時のメニューの選択権は子供にあることが伺える。
選択するメニューは、一品料理を選ぶ者が58.8%、数種類の料理を組み合わせたものを選ぶ者が40.0%であった。
また、学年が上がるにつれて、「数種類の料理を組み合わせたもの」と回答する者が多くなる傾向にあった。

     
考察
 

小学生から高校生までは、食習慣を形成する大切な時期である。

このような時期にある子供達を対象に調査した結果、健康のために食事が大切であるという意識は持っていても、実践までは至っていなかった。

また、子供達の情報源としては、マスメディアが大きな影響を与えているが、山口県では「家族・学校」が依然として大きな影響を与えていることがわかった。

高校卒業後は、社会的自立に伴い、自分で食事を選択する能力、食品を選択し組み合わせて調理するといった食事を整える能力も必要となり、食生活でも自立が 求められる。そのためにも、小学生から高校生にかけて良い食生活を身につけておくことが重要である。

子供達が良い食習慣を身につけて食生活の自立ができるよう、家族や学校の機能を十分に生かし、料理を作る、食事を選択する等の能力を男女共に養っていくよう、さらに食育を推進していくことが大切ではないかと感じた。


食生活に関する実態調査検討委員
所属 役職名 氏名
山口県立大学 教授 足立 蓉子
教育庁保健体育課 主任技師 河崎 明美
健康福祉部健康増進課 技術補佐 中村 良子
山口市立宮野中学校 養護教諭 林   龍子