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「やまぐち食育推進計画」の県民への浸透度と地域活動の展開について

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 本調査は、「食育基本法」(平成17年制定)を受け、食育を推進していくための基本的な指針として策定された、やまぐち食育推進計画(平成19年)に基づく家庭、学校、地域等の様々な分野において展開されている活動の県民への浸透度を知るために、財団法人山口県健康福祉財団 山口県健康づくりセンターが、公立大学法人山口県立大学へ委託して実施した。

本調査項目は、「やまぐち食育推進計画」の12の数値目標値のうち

 ① 「食育に関心を持っている県民の割合の増加」: 90%以上
 ② 「朝食を欠食している成人の割合の減少」:15%以下
 ③ 「毎日朝食をとる児童の割合の増加」:100%
 ④ 「学校給食における地場産物の使用割合の増加」:50%以上
 ⑤ 「県内食料供給力(金額ベース)の増加」:70%以上
 ⑥ 「内臓脂肪症候群を認知している県民の割合の増加」:80%以上
 ⑦ 「農業体験学習活動の実施学校の増加」:200校

の7指標に関連する項目を実践・行動レベルで設定したものである。本計画は、特に子どもに対する食育に重点がおかれていることや、内臓脂肪症候群の予防に着目し、山口県内在住の20歳代と30歳代の男女2,000名に回答を依頼した。

 

1 調査回答者

 回収率が27.4%と低いため、山口県の20歳代と30歳代を代表する回答とは言えない状況にあるが、性別では男性が約4割、女性が約6割、年代別では20歳代が約4割、30歳代の割合が約6割であった。地域別の性・年齢別には回答者の構成に差は見られなかった。家族構成は、20歳代では二世帯(大人のみ)、30歳代では二世帯(子どもあり)が最も多くそれぞれ約4割を占めた。性別では家族構成に違いがみられた。

 

2 食育の周知度、関心度及び実践状況

 (1)食育の周知度

 20歳代と30歳代の食育の周知度については、言葉を知っていた人の割合は、90.0%と高率を示し(「言葉も意味も知っていた」 50.6%及び「言葉は知っていたが意味は知らなかった」 39.4%の合計)、食育という言葉が若年者にかなり浸透していることがうかがえた。また、食育に関する意識調査(平成21年5月内閣府)結果の同年代・性別との比較では、本県の方が食育の周知度が高い状況にあった。

 (2)食育への関心度

 20歳代と30歳代の関心のある人の割合は、73.2%(「関心がある」 24.2%、「どちらかといえば関心がある」 49.0%の合計)であり、本調査実施の半年前の県政世論調査(平成21年6月)結果70.1%とほぼ同程度であり、目標値90%以上までには達していない状況である。性別では、男性に食育に関心のある人が少なく、食育の言葉も意味も知らない割合が高い。
 また、食育への関心の程度が高いほど、食育に関する情報収集や、農業・林業・漁業等の体験、郷土料理の講習会への参加、山口県産食材の購入、やまぐち食彩店等の山口県産の農水産物を食材として積極的に活用する店を利用していた。さらに、食育の関心の程度が高いほど内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の認知度が高く、日頃から健康的な食習慣を心がけ実践している人の割合が高い。

 (3)食育の実践状況

①朝食の欠食については、「朝食を食べない」と回答した20歳代と30歳代の割合は、7%であり、「週に2~3日程度食べる」及び「週に4~5日程度食べる」を合わせると20歳代で約3割、30歳代では約1割であった。また、朝食の摂取頻度が高いほど、食育の周知度や食育への関心度が高い人の割合が多く、情報収集や、農業・林業・漁業等の体験状況もよかった。さらに日頃からの健康的な食習慣8項目への心がけと実践状況もよい。

②朝食内容について、調査当日の朝食で最も多かった組み合わせは、「主食・主菜・副菜」であり、男女とも約35%を占めた。次いで「主食及び果物・飲み物・デザート」が約2割であった。また、朝食摂取頻度との関連では、「主食・主菜・副菜」を食べる人の約9割は、朝食を毎日食べている一方で、「主食及び果物・飲み物・デザート」の組み合わせを食べる人の場合、約7割が朝食を食べていなかった。

③内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の認知度は、若年層において目標値を達成しているが、日頃の食習慣に関する8項目の心がけと実践状況では、心がけている項目数の平均は6±2項目であるのに対し、実践している項目数の平均は4±2項目であった。8項目の実践において、項目数が多いほど、食育に関する情報収集や山口県産食材の購入、やまぐち食彩店等の山口県産の農水産物等を食材として積極的に活用する店の利用及び朝食を毎日食べる人の割合が高かった。

 

3 保育園や幼稚園等年長組以上の子どもがいる場合の現状

 子どもの朝食摂取状況では、毎日食べる子が97%と、100%の目標値をほぼ達成している。また、朝食、夕食の共食状況では、「家族そろって」、「大人の誰かと」を合わせると、朝食では4割、夕食ではほぼ10割の状況である。
 家庭菜園、魚釣り、山菜採り等については、男性で8割、女性で9割を超える人が子どもに体験をさせており、学校や地域団体による体験学習は、男性で約7割、女性で6割の人が体験をさせていた。
 子どもに食事づくりの手伝いをさせている人は、「いつも」及び「時々」を合わせると男性で約5割、女性で7割を超えていた。
 若年層に食育という言葉が高い割合で周知されていることは普及啓発による成果と推察する。今後も食育関係団体の連携によるいっそうの取り組みが期待される。