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どすこい体験記「秋芳洞」

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けんこう散歩道

~過ぎゆく夏~ 自然界の涼を探して…

平成19年9月1日 午前10時30分 秋芳洞案内所集合

○服装(長袖・長ズボン・滑りにくい靴・タオル・必要であれば飲み物・着替え・万歩計)
○秋芳洞案内所で借りた物(ヘルメット・軍手・懐中電灯)

 (現在はヘルメットと軍手の貸し出しは行っておりません[2012年9月現在]) 

…未公開の洞窟探検の開始…

 園内に入ってすぐ、大きなグラウンドがみえてきました。このグラウンドの外周は、1周約700m弱あり、膝にやさしい衝撃吸収材で舗装されています。今回は、このコースから散歩道スタートです!

 

 洞窟探検を案内してもらう観光ディレクター(ガイド)さん一人をお願いし、 参加者は私を含めて7名。仕事関係で、顔みしりの人たちです。
さあ、和気あいあいと出発です。吹く風が涼しく、どことなく秋の気配を感じます。

 

 洞窟内に入ると雄大な自然を前に、前回ここを訪れた時期が自然と話題にのぼります。(私自身、随分昔のような気がする…)
入り口すぐの青天井・百枚皿・洞窟富士・黄金柱…聞き覚え、見覚えのある 内容なのに、その一つ一つがガイドさんの説明を受けるとまた感じるものが 違ってくるから不思議です。年月を感じ、そして現代の環境を考え…。

 

 

今自分が立っているのは秋吉台の地下100m…平成17年11月8日にラムサール条約湿地に登録され話題になった地下水系からの水の流れにより、何百年何万年の時をかけて作られた洞窟、その水がおりなす音…四季を通じて一定している17℃の気温…

 ほんのり薄明るい洞窟は、想像を絶する壮大な時の流れを感じさせます。絶えず聞こえる水の音さえ、過ぎゆく時間をカウントしているようです。そして積み重ねられた年月に気が遠くなりそう…。

 

 …歩くこと一時間余り。いよいよ今日の目的である未公開の洞窟探検へ。 
秋芳洞入り口から黒谷口まで歩いたので、一旦千畳敷まで戻り準備されてい たヘルメット・軍手・懐中電灯を身に付けます。

 いよいよ、今日の本題へ突入です。
ヘルメットの安定が良いように何度もあごにかけたひもを確認し、気を引きしめます。
でも、ここは洞内でも高い位置にあり見晴らしの良い所。
未公開の洞窟は?入り口は?これから何処へ進むの?
洞窟の入り口は千畳敷脇の約30m下。そこに行くには、下に落ちないように設置してあるガードの柵を乗り超えて、登り降り用に取り付けてある鎖や足場を頼りに降ります。

 

 ヘルメットや懐中電灯を装備し、長靴やトレッキングシューズを履いた勇ましい姿の私たちに、通りすがりの観光客から励ましの声がかけられ、いざ出発。

のぞき込むと、薄暗い眼下は洞内に響く川の流れの音も加わりいっそう深く感じられ、降りていく鎖を持つ手によけいな力が入り、何度も足がすくみます。

 

 「ここで待っていようか、引き返そうか…」鎖を持つ手と進まない足がこわばります。
それでも、そんな私が気持ちをふるい立たせてなんとか30m下の岩場にたどり着けたのは、この日を楽しみにしていたという気持ち、ここまで来て一般公開されている部分だけ見て帰るのでは自分が情けないと思う気持ち、そしてなにより、先に下にたどり着いて怖じける私を励まし続け、時間をかけながら自分の力で降りてくる私をを待ってくれていた心強い同行の皆さんのおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。

 さあ、いよい未公開の洞窟探検です。
一般公開の部分から徐々に遠ざかるので、薄暗い灯りも少しずつ薄れていき、首に掛けた懐中電灯の明かりだけを頼りにガイドさんに続いて歩きます。
先頭を歩くガイドさんの灯りと要所要所の指示に気持ちを集中させます。ゆっくりゆっくり、石の上や岩の上を自分の手足で安全を確認しながら進みます。
そして、一般公開されている場所からの灯りが遠くに見えなくなった頃、未公開の洞窟到着です。

 間近で見る鍾乳石。積もったものもあればヒダのように柔らかな曲線を描いたものもあり、みんなの懐中電灯の光を集めて照らされたものは格別です。

 幻想的、神秘的、いや、どんな言葉もあてはまらないような気がします。
直に触り、長い時の流れを感じることができるのも未公開部分ならでは。勇気を出してここまで来て良かった。ガイドさんの提案でみんなの懐中電灯を一斉に消して光の無い暗闇を体験しました。一瞬にして何も見えない暗闇。それまで薄暗く見えていた光景もウソのよう。


 不安ですぐに懐中電灯に手がいきそうでしたが、ぐっと我慢。 

 しばらく暗闇に身を置くことにしました。…月の光も星の光も、ましてや地上に点在する民家の灯りも無い…暗闇のなかの暗闇、真っ暗というのはこういう状況なんでしょう。どこからも差し込む光が無いので暗闇に眼が慣れるという事もない…この暗闇の中に生きている、目が退化したシコクヨコエビなどの洞窟生動物をふと思い出します。懐中電灯で照らすと逃げるようにいなくなったのは、光が見えてまぶしかったのでは無く、光を感じたから…体で感じるって、こういう環境で生きていくにはとても大切なこと。
私も目を開けても何も見えない暗闇の中で、何かを感じる事ができるかな…
川の流れ、時の流れ、音、自然の偉大さ、神秘さ、静寂…
けれど光があることが当たり前で、自分の目で見ることに慣れている私には、「このまま暗闇のままだったら帰れるかな…」などと暗闇の不安がよぎり、反省。

シコクヨコエビは光を当てるとすぐに逃げてしまいます…

 

 探検を終え未公開の洞窟からの帰路、前方に少しずつ一般公開されている洞内からこぼれる灯りが見え、随分と時が過ぎたような気がしました。実際には一時間ぐらいでしたが。(薄明るい光が凹凸のある洞窟の天井を照らして、私には天井が夜明けの雲のように見えました。)

探検した場所は湿度100%と聞いていましたが、一般公開部分よりも涼しいくらいです。
それでも結構汗をかいたのは…何故???

 

 観光客に混ざって秋芳洞入り口まで出たときに、万歩計は8814歩でした。
所要時間約2時間30分。
地上はとっくにお昼を過ぎていました。
ふと自分を見ると、匍匐(ほふく)前進したかのようにあちこち泥だらけ。すれ違う人に不思議そうにチラチラ見られた訳です。
まさに、自然界の『涼』を体感の一日でした。

 

 余談ですが、万歩計が行方不明になってしまいました。
地下の迷路は10キロはあると言われ、公開されているのは1キロ余り。
もしかしたら持ち主も居ないまま、自分の〝足〟でまだまだ知られていない部分を探検して歩数を刻んでる? (ちなみに、観光案内所の落とし物の中で、〝足〟を止めているという説もあります。)

 

観光ディレクター(ガイド)さんについて詳しく知りたい方はこちら↓
http://karusuto.com/


 

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