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高齢者の食生活意識調査D

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高齢者の食生活意識調査

A.調査の概要
B.調査結果の概要(全体)
C.調査結果の概要(満足度別)
D.まとめ
E.調査結果の概要(市・町村別)
F.調査結果の概要(地域別)
G.数値表

D.まとめ

(1)現在の食事に対する満足度
「非常に満足(21.3%)」、「まあ満足(68.0%)」をあわせ、約9割の者が現在の食事に満足していると回答した。このうち、「非常に満足」と回答する割合は、年代が上がると共に高くなる。

(2)家族形態と食生活
「夫婦のみ(43.8%)」、「その他(36.5%)」をあわせ約8割の者が、自分以外の誰かと一緒に暮らしており、「一人暮らし(18.1%)」は約2割であった。

年代が上がると共に、「夫婦のみ」の割合は低くなり、「その他」、「一人暮らし」の割合が高くなる。

食事満足度別では、満足度が「夫婦のみ」で高く、「一人暮らし」で低かった。

(3)食事意識と食生活
「健康のために食事に気をつけている(76.7%)」と約8割の者が回答し、食事に対して積極的な姿勢を持っている事が伺われ、この傾向は、女性でやや高かった。

食事満足度別では、「気をつけている」と回答した者で満足度が高かった。

(4)食事準備(作る人)と食生活
食事を「自分で作る(39.7%)」、「配偶者が作る(35.7%)」で、「自分」か「配偶者」のどちらかが食事を作っている場合が多かった。

性別では、男性で「配偶者」が、女性で「自分」が、それぞれ約8割と高く、年代が上がると共に、「自分」の割合が低くなり、「配偶者以外の家族」が高くなる。

食事満足度別では、「配偶者」で満足度が高く、「自分」で満足度が低かった。

(5)食事準備(食品の入手)と食生活
食品入手については、約8割の者が「不便がない」と回答し、ほとんどの者は不便を感じていなかった。不便を感じている者は全体の約1割で、女性で高く、年代が上がると共に高くなる。

不便の理由として最も多かったのは「店が遠い」で、その他に「足・腰が悪く、買い物に行きづらい」等であった。

食事満足度別では、「不便がない」で満足度が高く、有意な差があった。

(6)食事の雰囲気と食生活

「いつも誰かと一緒に食べる(68.9%)」が全体の約7割を占め、食事を自分以外の者と一緒に食べる機会を多く持っている事が伺えた。

「ほとんど1人」は全体の約2割で、女性で高く、年代が上がると共に高くなる傾向にあった。

食事満足度別では、食事を誰かと一緒に食べる機会が多いほど、満足度が高く、有意な差があった。

(7)食事時間と食生活
食事にどのくらいの時間をかけるかは、21~30分が最も多く、次いで16~20分、31~40分の順であり、8割の者は30分以内に食事を済ませていた。

その時間に満足しているかについては、「満足(58.4%)」「まあ満足(32.4%)」をあわせ、約9割の者が満足しており、自分に合ったペースで食事を摂っていることが伺える。

食事満足度別では、時間に満足している者ほど食事満足度も高かった。

(8)食事制限と食生活
現在病気による食事制限が「ある」者は、17.4%と全体の約2割であった。

食事満足度別では、食事制限が「ある」者で、食事満足度が低く、有意な差があった。

(9)食事サービスの利用と食生活
惣菜・弁当・外食・食事サービス等は「ほとんど利用しない(49.5%)」が約半数を占め、また、利用頻度が増えるほど、利用者の割合は低く、食事サービス等は、あまり利用していなかった。しかし、男性や、年代が上がると共に、利用度が高くなる傾向がみられた。

食事満足度別では、食事サービスの利用が少ないほど、満足度が高く、有意な差があった。

(10)食費の意識と食生活
生活の中で、食事の位置づけ(食事の価値観)を、食費からみたところ、約半数の者が「食事に十分お金をかけてもいい(55.4%)」と回答し、男性でやや高かった。

食事満足度別では、「十分かけてもいい」で満足度が高かった。

(11)歯と食生活
「噛みづらいものもあるがだいたい食べられる(48.5%)」、「何でも噛めて食べたいものが食べられる(42.4%)」で、約半数の者は「噛みづらいものもある」と感じていた。

「噛めないので食べたいものが食べられない」は、3.4%と低いものの、年代が上がると共に、高くなる傾向にあった。

また、70代を境に「何でも噛める」が5割から4割へと低くなる。

食事満足度別では、「何でも噛める」者ほど満足度が高く、有意な差があった。

(12)運動頻度と食生活
運動を「ほとんど毎日している(32.8%)」、「特にしていない(28.0%)」が共に全体の約3割を占めていた。

運動の効果を頻度から判断すると「ほとんど毎日(32.8%)」「週に3~4回(19.4%)」をあわせ、約5割の者が好ましい習慣を持っている事が伺える。

食事満足度別では、「特にしていない」で満足度が低いが、運動頻度と食事満足度に大きな差はみられなかった。

(13)睡眠と食生活
「よく眠れる(45.1%)」、「まあ眠れる(40.2%)」をあわせ、8割の者が睡眠に不満は感じていなかった。
食事満足度別では、「よく眠れる」者ほど食事満足度が高かった。

(14)趣味の有無と食生活
約7割の者が趣味を「持っている」と回答した。年代別では、80代で「持っている」の割合が低くなる。

食事満足度別では、趣味を「持っている」者で満足度の割合が高く、有意な差があった。

(15)生きがいの有無と食生活
約7割の者が生きがいを「持っている」と回答した。
食事満足度別では、生きがいを「持っている」者で満足度の割合が高く、有意な差があった。

(16)食品摂取状況
食品を14のグループに分類して、前日にその食品を食べたかどうか聞いたところ、どの食品グループも半数以上の者が摂取していた。特に多かったのが、魚介類、大豆製品、海草類、緑黄色野菜、淡色野菜、果物、穀類で8割以上の者が食べていた。

食品グループの摂取数でみても、10食品グループ以上摂取していた者が約7割で、両者の結果から多くの食品を摂取している事が伺える。

また、食品グループの摂取数を「9以下」と「10以上」で分けると、男性、及び年代が上がると共に食品グループ摂取数が低かった。

食事満足度別では、食品グループの摂取数が多い者ほど、満足度が高かった。

考察
今回、老人クラブ活動に参加しているいわゆる「元気高齢者」を対象に調査を実施した結果、大多数の回答者が、食事に限らず、日常生活全般に関しても、非常に積極的で、元気に生活している印象があった。
しかし、詳細に分析すると、食生活の満足度を損ねる要因として以下の特徴が抽出された。

1)一人暮らしや独りでの食事、食品入手困難
2)咀嚼能の障害や低下
3)疾病による食事制限
4)生き甲斐や趣味を持たない

この特徴の1)については、独居高齢者は食事を整える上で、かなり消極的で、食事に対する執着をなくしているように見える。摂取食品数が低く、配食サービ スの利用が高い点もこれらの解釈を支持する。然しながら、このような食行動は、いわゆる「口に合わない」食事を受け入れる事を余儀なくされ、これが、食事 に対する不満となっている結果とも理解される。

2)については、摂取可能食品が制限される事から、アンケートの結果に見られる食品摂取数の減少に通じる。結果的に栄養のバランスが問題となってくる。ま た、摂食刺激の減少は中枢神経系にも悪影響を及ぼすことが知られており、痴呆の増悪や早発予防にも必要な条件と考えられる。

また、3)については、特に糖尿病や高血圧などから、食事の楽しみを満喫できないいらだたしさが伝わってくる。

4)については個人の資質や環境、人生観などとの関係があり、単純な問題とは言えないが、生き甲斐があると答えた中から、具体例を参照すると、実に多様な 物事が生き甲斐や趣味になっていることが判る。中年期からの生き方の問題として捕らえておく必要がある。

上記のような認識の元に考えると、高齢社会を迎えた山口県において、高齢者の充実した食生活を支援するためには、
○孤食を避ける環境づくり(例えばディサービスの拡大など)、
○満足感が得られるような食事サービスの充実(味付けや食材の形態なども要素に加えたメニュー制の導入など)
○個人レベルで行われる、歯科検診とその結果に基づいた摂食可能な口腔条件の整備
○生活習慣病の一次予防対策の充実、
が必要といえる。更に、趣味や生きがいを持っている事が食生活の充実においても大きな要素である事から、質の高い達成感のある人生が送れる様、人生早期からの自己研鑽に加え、それらが行い易い環境を整備する事も望まれる。